ずっとオレの1番でいてくれますか?
ガラッ。


オレはドアのほうを向く。


そこにはオレの母親がドアを開けたまま立ち尽くしていた。


「なにしてんの?母さん。早く中入ったら?」


オレはゆっくりと体を起こす。


ゆっくりだから起き上がれるものの、体が鉛のように重いのは変わらない。


「…り、涼?もう大丈夫なの?痛みは?」


母さんはすごく動揺してるみたいだ。


「んー、体が鉛みたいに重いし、そこらじゅう痛いけど、大丈夫。」


オレは笑顔で言った。


ほんとは千夏が心配でたまらないけど、今は母さんを安心させてあげるのが1番だと思ったからそうした。


すると、母さんはホッとしたのか笑顔で泣き始めた。


「なんで泣くんだよ。」


思わず笑ってしまった。


いつも涙を見せなかった母さんが今子どもみたいにオレの前で泣いてるんだから。


「よかったわぁ。あんたここに運ばれてきてから1週間も目を覚まさなかったのよ?!」


…は?


オレ、そんな寝てたっけ?


不思議だ。


1週間経っているのは本当なのに、オレにはさっき寝てすぐ起きたような感覚だった。


「まぢ?!オレ、そんな寝てたの?!」


「ほんとよ。もう、、心配したんだから…。」


母さんはそう言ってまた泣いた。


オレはそんな母さんの背中をさすってやった。


はじめて見た母さんの涙はびっくりするほどキレイで、今までずっと泣くのを我慢してきたのが、なぜかわかった。
< 10 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop