雪降ル夜ノ奇跡
「きゃ、きゃぁぁぁ」


「こら、動くでない!危ないであろう、落ちたらどうする」


心菜がそう叫ぶのも無理はない、体が空高く浮いているのだから。


しばらくして心菜は落ち着いたのかぽつりと声を漏らす。


「…あの」

「ん?何だ?言うてみよ」

「礼於…様は、何故私をお助け下さったのですか?初めて会って何も関わりがない私を…」


うーんと頭を抱えてからこう言った、


「…ほうっておけなかったのだ。俺があそこに迷い込んだのも何かの縁であろう、それに…」

そう言い掛けて礼於は心菜の右胸を指差す、


「貴女の心が光を失いそうだったから」


礼於はあの部屋で心菜を目にした時一番に心菜の右胸の光を見つけた。

もしやと思ったのだ。


「これは本当に偶然なのか…、心菜、貴女は俺の…、」


「探し求めていた運命の相手だ」
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