青いブレスレット
「いままでその…元カノとそういう雰囲気になったりしたかったの…?」

気になったことを率直に聞いた。



「うん、ならなかったよ、たぶん。………ん?ならなかった…と思う……あれ…」

どうやら思い当たる節がありそうだ。


もしかして元カノたちはそういう雰囲気を出しても、水原くんに気づかれなかったのでは……?


「俺、やっぱり鈍感なのかな……?」

水原くんが苦笑いした。


「元カノたちは気づかれないうちに水原くんにアピールしてたのかもしれないね」

「それは…悪いことしたかな…。
でも、正直その頃はキスしたいとかそういう気持ち全然理解できなくてさ」

「え?」

「恋人とキスしたい、っていう気持ちがわからないっていうか。ほんとにわかんなかったんだ」


キスしたい気持ちがわからない。

好きな人とはキスしたいって思うのは普通じゃないのかな。


…あ。

水原くんがキスしたいと思ったことがないのって、本当に好きになった人がいなかったから、なのかな?



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