青いブレスレット
あの人、別に特別カッコいいわけでもなかったじゃん。
あれくらいの明るくて優しい人ならどこにでもいるって。
本当に明るくて優しい人だったのかはちょっと微妙だけど。
うす暗い空がぼうっとかすんで、頬に冷たい感覚が走る。
やっぱりわたし、あの人のこと好きだったんだな。
それはごまかせない事実。
いつかこうなるとは思ってたけど、やっぱりフラれてショックなんだな。
そんな思いが瞳から溶け出し、涙となって流れ落ちる。
「・・・ふふ・・・っ」
おかしくないのに笑えてくる。
おかしいな・・・はは・・・。
泣きながら笑ってて、周りから見たら変な人だよ。
おっかしー。・・・はははっ。
「・・・う・・・っ、うえ・・・っ」
でももう限界。
わたし今までそんなに泣いたことなかった。
お父さんに叱られても、友達と喧嘩しても、泣いたりしなかった。
だから、今日くらい、泣いてもいいよね。
「うあー・・・っ!」
普段のわたしなら出さないような大声を出して、空に向かって泣いた。
泣いても泣いても、涙は尽きてくれない。
乾燥した空気も、わたしの涙をかわかすことはできないのかな。