青いブレスレット

話の合間に、わたしはなんとなくフードコート内を見渡してみた。


よその高校の生徒のグループがわたしたちのように話していたり、または1人で勉強している。

他には、小学生たちがソフトクリームを食べながらゲームをしていたり、スーツとかTシャツとか、色々な格好の大人が食事をとっていたりコーヒーを飲んでいた。


ただぼーっと見渡していたら、見覚えのある人がフードコートに入ってきて、わたしたちのテーブルから離れたところに座った。



あの背格好、髪色、顔立ち。 



・・・水原くんだ。



少し鼓動が早くなる。

姿が見えただけなのに、嬉しい自分がいるよ。


水原くん1人かな?

わたしに気づくかな。


水原くんは何かを探しているのか、辺りをキョロキョロしていた。

わたしは離れた席から水原くんを見つめた。


すると・・・、あ、目が合った。

普通の人から見たら、その時の水原くんの表情は読み取れなかったと思う。

でも、わたしははっきりと分かった。


わたしに気づいて、一瞬おどろいた顔をした。

でもそのあと、嬉しそうな顔になった。

あの優しそうな笑顔も少しだけ、浮かんだような気がする。


その瞬間、わたしは無意識に立ちあがって、水原くんに声をかけようとした。



「みず・・・」


「ごめん透ー、待った?」



・・・え?


一瞬わたしを見ていた水原くんは、声のした方を向いた。



・・・女の子だ。

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