青いブレスレット

勢い

「透、透ってば!」


呼ばれて、はっとする。

西野と新田と西野の友達2人と5人でファストフード店に来た。


でも、全く食欲が起きない。

とりあえず買ったウーロン茶も口をつけていない。



「ねえ、ウーロン茶一口もらってもいい?」

新田がニコニコしながら言ってくる。


「ああ、飲まないから全部あげるよ」


新田の前に置くと、ポカンとした顔をされた。



やっぱり、さっき雪川さんといた男は彼氏なのかな。

雪川さん、あんなに楽しそうだったから。


なんだかモヤモヤする。

他のことに集中できない。

このことばかり考えてしまう。



明るい髪の色に、ノリの良さそうな雰囲気。

…俺とは正反対。

雪川さんはああいうやつが好きなのかな。



姿を見た時はあんなに嬉しかったのに、今は地獄に落ちたような気分だ。



「おい水原、さっきからどうしたんだよ、黙り込んで」

西野が耳打ちする。

「…なんでもないって」


そう言った時の顔すら不機嫌に見えたのか、西野はまた耳打ちしてきた。


「なんかあったのか?もう帰るか?」

「…帰っていいなら帰る」


西野と先に抜けることにした。

残った3人は不服そうだったけれど、しぶしぶ見送ってくれた。


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