青いブレスレット
わたしたちの高校の制服。
巻かれた茶色の長い髪、マスカラやリップを多く使ったメイク。
制服のスカートは下着が見えそうなほど短くて、シャツの胸元は開かれ、ネクタイは緩められている。
舞華ちゃんたちのような、今どきのかわいい女の子。
「はい!透の分だよ」
女の子は水原くんにジュースを渡した。
「え?俺の分も買ってきてくれたの!?」
「待っててくれたんだもん、これくらい当然だよ~」
水原くんは女の子に、たぶん・・・小銭を差し出した。
「ありがと、これ、お金」
「え~、別にいいのに~」
受け取らなかった女の子も、最後は受け取った。
「・・・紗奈?どうしたの?」
舞華ちゃんに話しかけられ、はっと我に返った。
事情を知らない3人には、わたしが急に立ち上がって「みず」とつぶやいただけにしか見えてないんだ・・・そりゃそうだよね。
「水?」
百合ちゃんが首をかしげる。
冷水器が目に入ったわたしは、とっさに思いついたことを口にした。
「そ、そう水!水飲みたくなっちゃった!」
「え?飲んでんじゃん」
理香ちゃんがわたしの飲みかけのコーラを見る。
「え!?あー・・・、甘いもの飲んでたら口の中さっぱりさせたくなっちゃってさあ、ちょっと水取ってくるね!」
ぽかんとする3人をあとに、わたしは冷水機に向かった。
・・・しまった。
そう思ったときには、もう冷水器の前で紙コップを持っていた。
冷水器が水原くんたちが座るテーブルから数メートルの位置にあることを考えてなかったよ。