青いブレスレット
「顔も別に好みじゃないし、ヤラせてもくれないじゃん。これ以上付き合ってても仕方ねーし」



………は?

こいつ何言ってんだ?



雪川さんは一言も喋らない。

ずっと無表情のまま、動かない。



「俺なんかよりもっと好きになってくれるやつ探したほうがいいよ。じゃあな」



彼氏の男はそう吐き捨てると、1人で歩いて行ってしまった。



話を聞けば、やっぱり2人は付き合っていたよう。

でも、なんであんなやつが雪川さんと付き合ってたんだ?



考え込んでいると、雪川さんの声が聞こえる。



「うあー…っ!」



…泣いている。

大きな石の上に座って、泣きじゃくっている。


きっと、本当にあの男のことが好きだったんだ。




そう実感して、胸が締め付けられるような感覚がした。




ガサッ。


…あ。

足を動かしてしまい、枯れ葉と砂利を踏む音がした。



まずい、俺がいるのがバレないうちに逃げなきゃ……


雪川さんの方を見ると………



俺の方をガン見している。



やばい!バレた!!!


< 260 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop