青いブレスレット
いまさら引き返すわけにもいかず、とりあえず紙コップ一杯水をもらって急いで戻ろうと思った。
・・・なんで手震えてるの?
水こぼすよ?震えないで、お願いだから・・・。
「あ、ここにいたのかー」
男の人の声がする。
するとさっきの女の子が答えた。
「タケルたち待ってたんだよ~?」
男の人の笑い声が聞こえた。
「嘘つけよー、見せつけてくれるじゃん?」
「あはは」
ちらっとそっちのほうを見ると、髪の茶色っぽい男子と女子が数人来ていて、水原くんと女の子を見て笑っていた。
女の子が水原くんの腕に自分の腕を絡ませてぴったりくっついている。
女の子はときどき水原くんの顔を見たりしながら嬉しそうだ。
彼氏と彼女。
どう見ても、そう見える。
なんで・・・?
そんなことを考えていたら、本当に紙コップををひっくり返してしまった。
バシャッと、スカートに水がかかる。
その瞬間、水原くんといる人たちがこっちに気づいた。
どうしよう・・・。
わたしは急いで紙ナプキンで床を拭いて、スカートをハンカチで軽くこすったあと、紙コップに水を入れてテーブルに戻った。