青いブレスレット
………そんな。


本気じゃないかもしれない。

ついカッとなって言っただけかもしれない。



だけど………



さすがに、それは、傷つくよ。



「…ひどい」


久しぶりにわたしの口から出たのは3文字。

自分でも分かるくらい、声が震えていた。



「わたしのこと信用してないのは水原くんの方じゃない!信用してたらそんなひどいこと言えないよ!」


ついに、わたしも大声で言い返してしまった。


水原くんは言葉が止まる。



でも、表情は一切変わらない。



「じゃあ、なんで元カレにもらったネックレス、まだ持ち歩いてんだよ」


今度の水原くんの声は、落ち着いている。

怒ってはいるけど。



「だから、忘れてただけだって…」

「それは本当の理由か?」



言葉を遮られる。

わけが分からなかった。



「…どういう意味?」

「まだ気持ちが残ってるから、捨てるに捨てられないんじゃねーの?」



わたしの口からは、また言葉が出てこなくなった。


そうじゃない。

その一言が、出てこなかった。



「否定しないのかよ。自分のこと棚に上げて、よく文句言えるな」



もう水原くんは、いつも通りの優しい口調じゃなくなっていた。



わたしの口から出たのは、言いたかった言葉じゃなかった。



「…水原くんには、わたしの気持ちなんて分からないよ」




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