青いブレスレット
終業式が始まる。


いつも通りの、先生たちの長い話。



何も耳に入らない。



考えるのは、水原くんのことばかり。



今更いくら考えたって、無駄なことは分かりきってるのに。



わたしの少し前に立っている水原くんが、とてつもなく遠くにいるように感じる。



もし、あのときに戻れたら、意地を張ったりしないのに。

素直に、好きな気持ちを表現するのに。

どうして、時間って戻らないのかな。



なんだか足がフワフワする。

いや、身体全体がフワフワする。


目の前が暗くなってくる。



あ、真っ暗になった。



ダンッ!

って、体育館の床にバスケットボールを思いっきりバウンドさせたような音が聞こえた。



「紗奈ちゃん?紗奈ちゃん!」



千夏ちゃんがわたしを呼んでる。

肩を揺すられる感覚がする。



でも、身体が動かないや………。

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