青いブレスレット
目に入った小さな公園に入る。



誰もいない。


とりあえずブランコに座った。



…寒いなあ。


何も考えずに上着も持たずに飛び出してきちゃった。



「紗奈!」


顔を上げると、舞華ちゃんと西野くんが走ってきた。



「紗奈、ごめんね」


息を切らしながら、舞華ちゃんが謝ってきた。



「…どうして舞華ちゃんが謝るの?」

「今日は、紗奈と水原くんを復縁させようと思って集まったの。何も知らない水原くんを西野くんに連れてきてもらってね」


…そうだったんだ。



わたしは何も返事せず、うつむいていた。



「雪川、あいつクラスの子にクリスマス会誘われてたみたいだけど、行ってねーよ」


西野くんの言葉にわたしは思わず顔を上げた。



「昨日は一日バイトしてたらしいぜ。もともとお前と会う約束してたのに、他のやつと遊ぶ気にはなれないからって」



知らなかった。


だから、わたしが中谷といたの知ってるのかな。



「ごめん、一人になりたいの」


わたしがそう言うと、舞華ちゃんと西野くんは顔を見合わせた。

そして、頷く。



「分かった。あたしたちは理香の家で待ってるから、落ち着いたら帰っておいで」


そう言うと、舞華ちゃんは着ていた上着をわたしにかけてくれた。

そして、西野くんと帰っていった。



また一人になって、考える。



そうなんだ、水原くん、昨日は一日バイトしてたんだ。

女の子たちと遊んでると思ったよ。



ふと、自分の右手の平を見る。



まだ、少し赤くなってる。

水原くんのほっぺた思いっきり叩いたから。



…もうだめだ。


さっきより前だったらよかったかもしれない。

だけど、自分の勘違いで顔殴るとか、まじ最低だ。


それに、中谷と一緒にいたところも見られた。


もう絶対、嫌われた………。



また、涙が出てくる。


戻れないのなんて分かってたはずなのに、改めて実感した。





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