青いブレスレット

気持ちが落ち着いてから理香ちゃんの家に戻った。



部屋にいたのは、理香ちゃん、舞華ちゃん、百合ちゃんの3人。




「舞華ちゃん、上着ありがとう」

「おかえり、千夏ちゃんと西野くんは水原くんと話に行ったよ」


わたしが座ると、3人ともいきなり謝ってきた。



「ごめん！」

「や、やめてよ！こっちこそ心配かけてごめんねっ」

わたしは明るく繕ったけど、3人の顔つきは変わらない。


舞華ちゃんが言った。

「紗奈、水原くんとやり直す気はもうないの？」


ストレートな質問。


とっさに答えは出てこなかったけど、答えた。



「だってもう、嫌われちゃったから…」

「二人とも意地張ってるだけじゃん」



冷静に否定された。


わたしは何も言えず、黙った。



「西野くんも言ってたよ。紗奈と付き合ってからの水原くんは変わったって。なのにそんなことで嫌いになるわけないって」



そう言われて、一瞬嬉しいと思った。

だけど……



「西野くんがわたしに気を使ってそう言っただけかもしれないじゃん」


…かわいくない。


自分で自分をそう思った。



「水原くんだけじゃない。あんたもだよ、紗奈」



意外な言葉に、思わず舞華ちゃんの顔をじっと見た。

相変わらず、真面目な顔つき。



「中谷くんと付き合ってる時の紗奈は楽しそうでも、どこかつらそうだった。だけど、水原くんと付き合ってからは、ただただ楽しそうだったよ」



…気がつかなかった。

わたし、そんなふうに見えてたんだ……。



「あんたが本当に水原くんのことはもうどうでもよくて、中谷くんと復縁したいって言うなら、あたしたちは何も言わない。だけど、どこか迷いがあるなら、一度しっかり考え直してほしいの。後悔しないように」



3人とも、わたしのことを本気で心配してくれている。

迷惑かけてばっかなのに。


本当にいい友達だなあ。



「…ありがとう」



また泣きそうになったから、わたしはそれを隠すようにうつむいた。