青いブレスレット
涙が止まらない。


中谷の顔を見れない。



「…あいつとやり直すことにしたのか?」


中谷が静かに聞いてきた。



「…そうじゃない」

「お前の片想いってことか?」

「…たぶん」

「じゃあ、返事はあいつと上手く行かなかったときにすればいいよ。俺はそれまで待つから」



それなら、水原くんと元に戻れなくても、中谷がいるから、さみしい思いはしなくて済む。


だけど………



「ダメだよ。保険かけるようなことしたくない。そんなの中谷に失礼だよ」


中谷は真剣に想いを伝えてくれた。

だから、わたしも真剣に返さなきゃ。



「…そうか」



中谷がポツリとつぶやく。



「あのとき、俺がバカだったな。お前の大事さに気づいてれば、今頃一緒にいられたかもしれないのに」


そう言って、ふっと笑った。



「しかも、今更やり直したいなんて言って、カッコ悪いよな」



…そんなことないよ。


「わたしね、正直あのときから中谷のこと嫌いだったよ。だけどね、今はそうは思ってないよ」



本当だよ。



「クリスマスイブ、楽しかったよ。倒れたとき、助けてくれてありがとう。わたし、中谷に会えてよかった!」



まだ泣いてたけど、わたしは笑って言った。


中谷も、悲しそうに笑った。



「俺も、お前に会えてよかった。でも、失恋て、つらいもんだな」

「あ…ごめん」

「なに振った男に謝ってんだよバカ。でも、俺はあのときお前にもっと嫌な気持ちさせたんだよな、ごめんな」



中谷はわたしの頭をくしゃっとなでた。



「紗奈、あいつと上手くいくといいな」


「…ありがとう!」



わたしの心はすごくスッキリしていた。

だけど、やっぱり少し悲しかった。
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