青いブレスレット
「では水原透さん、ステージに上がってください!」



西野くんが呼ぶと、水原くんはステージまで歩いて行って、階段を使わずにヒョイっとステージに上がった。



ざわめきは収まったけど、水原くんを見てまだヒソヒソと話す女の子たちもいた。



「えー水原くん、おめでとうございます」

「…ありがとうございます」



普段二人が仲がいいことを知ってるDクラスの人たちは、かしこまった二人のやりとりに笑った。



「MVPに選ばれたお気持ちはいかがですか?」

「そうですね、うちのクラスの実行委員に勝手に選手名簿に全部名前書かれたときはキレましたが、クラスは優勝して、MVPにも選んでいただいたことだし、忘れようと思います」


みんなが笑う。

先生たちも笑う。

西野くんも笑う。



こうして、ステージにいる水原くんを下から、遠くから見ていると、やっぱり遠い存在に感じてしまう。


水原くんがMVPになって嬉しい反面、どこか寂しさが拭えない。



…いや、もうそうやって、ネガティブに考えるのはやめよう。



このあと、わたしは水原くんにマフラーを渡して告白するんだからーーー。







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