青いブレスレット
「では水原くん」


西野くんが改まって、わざとらしい咳払いをする。



2年は状況を察したようで、またザワザワしだした。



「君のために3分ほど時間を取っている。毎年恒例の、MVPのフリートークをお願いします」



みんなが一斉に笑った。

何を話すのか、楽しみにしている様子だ。


水原くんは、えー!?という顔をしながら、西野くんからマイクを受け取り、何やら覚悟を決めた顔をした。


体育館は静かになった。



「えっと…2年Dクラスの水原透です。MVPに選んでいただいてありがとうございます。歴代のMVPは一発芸をやっていると聞いたので、俺も…」



ええ!?

水原くん一発芸するの!?



みんなもまたざわつき始める。


女の子たちは「水原くんが!?」と話している。




わたしは不安になって、横にいる千夏ちゃんと理香を見た。



…あれ?



この状況なのに、二人とも、真剣な顔でステージを見つめていた。
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