青いブレスレット
わたしは今の自分の気持ちを素直に伝えた。
「わたしも楽しかった。また一緒にどこか行きたいね」
落ち込みかけた水原くんの顔はぱあっと明るくなった。
そして、にこっと笑って言った。
「ありがとう」
水原くん、またそんな優しい顔…。
その時の水原くんの顔があまりにも優しくて、なんだかとても暖かいような穏やかな気持ちになった。
この笑顔をずっと見ていられたら。
この笑顔を独り占めできたら―…。
それはさっきまでは抱いていなかった、特別な感情。
「雪川さん」
「は、はい!」
またぼーっとしてたみたい。
水原くんの呼びかけで現実に引き戻された。
「そろそろ道、別れるね」
「え?…ああ、そっか…」
家の方向が同じなのはこの辺りまで。
そろそろ水原くんとお別れだな。
春休みは半月くらい。
いつもは短いと思うけど、今のわたしにとってはちょっと長いかも…。
「じゃあ、また来年度」
「う、うん、バイバイ…」
わりとあっさり別れてしまって、ちょっと寂しい。
でも、思い返してみると、今日は色々進展したかも。
今のわたしは立ち止まらず、一歩ずつ、前に進んでる。