青いブレスレット
「松浦さん、エリカも、もうやめろって」
西野くんが2人をなだめるけれど、2人はにらみ合ったまま動かない。
効果があるとは思えなかったけど、わたしもなだめる。
「理香ちゃん、もうやめようよ」
「あたし、ショッピングモールでの時からなんかこの人嫌だったの。大丈夫、紗奈には関係ないから」
そうは言うけど、理香ちゃんはわたしたちの事情を知ってる。
半分はわたしのためにエリカに言ってくれたんだ。
「なあに?ショッピングモールって」
エリカはあの時、理香ちゃんが見ていたことは知らないらしい。
「あんた紗奈が水こぼしたの見たとき、なんか言ってなかった?」
理香ちゃんの顔からはすでに笑いが消えていた。
そんな理香ちゃんに、そしてわたしに向かって、見下すような笑いを浮かべた。
「ああ、水こぼしてダサいって言ったこと?地味って言ったこと?だってその通りじゃん」
エリカはやっぱり悪びれる様子もない。
それどころか、さらにわたしに悪口を言った。
「別にこれといった特徴もないし、格好だって地味。おまけに水こぼすなんてマジでダサい。そう思ったから言っただけ。何が悪いの?」
怒りを通り過ぎで、ショックだった。
なんでこいつにここまで言われなきゃいけないの?