青いブレスレット
「あんた、紗奈に謝んなよ」
「はあ?何で?意味わかんなーい」
千夏ちゃんも西野くんも、喧嘩に凍りついている。
わたしは悔しいけど、口が渇いて言葉が出てこない。
「まだ言ってほしい?ねえ、あんた男にモテたことないでしょ。たとえ付き合ってくれる男いたってヤる目的くらいで、すぐにフラれるんだろうね~」
エリカにそう言われた時、わたしはあの時のことを思い出した。
『俺、やっぱりもう無理だわ』
『顔も別に好みじゃないし、ヤラせてもくれないじゃん。これ以上付き合っても仕方ねーし』
あの時の感情もそのままよみがえってくる。
鼻がツンと痛くなって、目がかあっと熱くなる。
急いでうつむいてみたけど、もう限界かも。
そのとき、急に手首を引かれた。
見上げると、千夏ちゃんだ。
水原くん、理香ちゃん、西野くん、エリカを残して、千夏ちゃんはわたしの手を引いてズンズン歩き、さっきお弁当を食べた屋上まで来た。
屋上のドアを閉めると、千夏ちゃんははーっと息を吐いた。
「紗奈ちゃん、大丈夫?」
千夏ちゃんが心配そうにわたしを見る。
気づけば、あの時と同じ、頬に冷たい感覚があった。