青いブレスレット
あまりにも急でびっくりした。
おにぎりも落としちゃったよ。
大きな音がしたわりにはあまり痛くないと思ったけれど、頭が冷えてくると同時に痛みもじんじんと伝わってくる。
後頭部をさすっていると、舞華ちゃんたちが心配して声をかけてくれた。
「どうしたの!?大丈夫!?」
理香ちゃんがわたしたちの横に転がっているものに気づき、拾い上げる。
「サッカーボール・・・?」
「ごめんなさい、大丈夫!?」
1人の男の子が近づいてくる。
「ちょっとあんた!危ないでしょ!?」
「サッカーならグラウンドでやりなさいよ!」
理香ちゃんと百合ちゃんが男の子を責め立てる。
わたしのために言ってくれてるのは分かるけど、2人の言い方は強くてちょっとかわいそう・・・。
「ゆ、百合ちゃん、理香ちゃん、わたしは大丈夫だから。あなたも、そんなに気にしないで下さ・・・」
言いかけて、口が止まる。
・・・あれ、この顔・・・。
黒くてつやつやした髪、澄んだ綺麗な目・・・。
「水原ー、早く戻ってこいよー」
中庭の向こうから別の男子の声がする。
「ああ、今行く!ホントにごめんね」
彼はぺこりと頭を下げて、中庭の向こう側へ走っていった。
「あーあ、おにぎり砂ついちゃってるよ?」
百合ちゃんが拾って渡してはくれたけど、砂がついていてとても食べられそうもない。
おにぎりを持ちながら、わたしは彼が走っていったほうをぼーっと見つめていた。