Fairy-tale Assassinate
美しい満月。
その袂で届こうと高く湧く噴水が、キラキラ光る。
「光るのは、水だけじゃないな」
ハッと振り向くと、新しい服に身を包んだエルヴィス王子が真横で微笑んでいる。
「ほら、よく見て」
エルヴィス様が指差した先には、さっきまで私が追いかけていた不思議な光。
それも、一つじゃない。
数えられないくらいたくさん、庭園中に飛んで月や噴水の光を浴びている。
「キレイだぁ…」
「お嬢さんには負けるけど、な」
「はあっ!?」
目はぱちくり開いた口は塞がらない。
そんな私を見て王子サマは苦笑して話題を変えた。
「こいつらは、妖精な」
「妖精…?」
「そう。満月の夜にはこうして出てくるけど、見える人は少ない」
「これって…さっき助けてくれた…?」
矢が来る前に光って教えてくれた。
エルヴィス様はクスリと笑う。