Fairy-tale Assassinate
―数日後―
「ええ!? それでそのまま帰って来ちゃったの?」
「んだ…」
旦那サマの屋敷に戻ってきて、同僚に話すとこの反応だった。
同僚は暗殺のことは知らない。
私がお嬢様についてパーティーに行ったと思っている。
実際、パーティーは全く楽しめてない。
これで旦那サマのお屋敷をクビになるのならもっと楽しめばよかっただ…
後悔は先に立たず。
あれ以来、自分の首は恥ずかしくて見ることが出来ず、他人に見られるのも恥ずかしいから、ずっと布を首に巻いている。
“くび”について悩みは絶えない。
その時、屋敷の呼び鈴が音を立てた。
「わ、私行くだ!」
同僚から逃げるように屋敷の玄関を開くと、思いがけない人物が目に飛び込んだ。
「え、エルヴィス様……」
「ご機嫌麗しゅう、こないだのお嬢様」
にこりと笑うさまはやはり美しい。