Fairy-tale Assassinate
「申し訳ありません。お嬢さんを美しく引き立てるドレスが、濡れてしまいました」
「そんなことどうだってええです!! 王子サマのお服の方が!!」
私の言葉で初めて彼は自分の服の様子を見た。
濡れているだけでなく、床を滑ったせいで擦れたり埃がついたり。
私のせいだ……
指先の温度がスッと消えていくのを感じた。
それと同様に、仕事を失敗し、王子サマに手間を掛けさせる始末。
私の人生も温度と一緒に消えていく。
私は……もう
その時、私の手が取られた。
「お嬢さん、立てますかな?」