Fairy-tale Assassinate
「あ、はい!」
指に温度が、ついでに頬も熱くなる。
手だけ引いてもらうつもりだったのに、
「失礼、な!」
「ひやぁ!!」
腰を取られ、あれよあれよという間に抱き上げられてしまった。
高い!
どうしたらええんだ!?
「じっとしててな」
「な! な、なにをっ?」
私を抱いたまま、王子サマは客全員を振り返る。
「皆さん、主催者の身でありながら申し訳ありませんな。レディの安全はパーティーの進行より大事な」
周りから笑いが起こる。
私は今すぐ人の目から立ち退きたいだ。
「レディとこのまま夜を共にしたいのは山々ですが、主催者が抜ける訳にはいきませんな。
着替えて参りますので、しばしお待ちを」