極道のみち
出逢い
街の中、一人で歩く私の横を
お腹の大きい女のひとが
通りすぎた。
雪がとけたばかりの
天気のいい空のした
私は、足を止めて
そのお腹を見つめた。
泣きたくなるほどの
気持ちを抑えた。
家について引き出しからだしたもの
本当なら私のお腹も
大きくなっているはずだった。
この子と約束したことは
高校を卒業して、
自分の夢をかなえること。
これが私がこの子にできる
唯一の報いだった。
思い出すたび泣いていた。
あれから、1年と何ヵ月か
経った。