警察官になりたいです!


人通りの少ない路地に入った途端、茜が問い掛けて来た。

「奈津。」

怖い。

「な…何?」


「宝城さんと知り合いだったの?…呼び捨てされる程なら知り合いより上の関係?」


「…………」

茜はこういうところがあるから関わりたく無いんだ。

「なんで言わなかったのよ!」

茜の握り拳が私の頭に向かってくる。


―――――パシッ。


私は茜の殴りを止めた。

茜の腕は相当力が入っているせいか、震えている。


「アンタが剣道と柔道の有段者じゃなかったら…イジメのターゲットだった。芸は身を助けるってこのことね」


茜が言い終わる前に私は家に向かって走っていた。

背後から、「覚えとけよ!」と怒鳴る茜の声が聞こえた気がした。
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