*双子ちゃん*



「ま、美桜の気持ちもわかるぞ。」


「へ??な、なんでよ。」


「だって、あの笑顔はなー!!照れるよな!!」


「そんな男に言われても…。」


「いやいや、女子目線で言ったつもりなんすけど。それに、俺が男の笑顔に照れるわけねーだろ。皐月先輩の笑顔は、俺を救ったの!!」


「救った??」


「あぁ。俺が中学のときにな。」


それから、俺は皐月先輩とのことを美桜に話した。


俺が中学のとき。


俺は、何をやっても完璧にできた。


勉強も運動も…。


女や友達に困ったことなんてない。


そんな俺の人生に初めて夢中になれるものができた。


それがサッカー。


最初は友達や先輩にしつこく誘われたから、仕方なく入った。


そして、俺は約1ヶ月で試合にも出られるくらい上達していった。


”マオがいないと負ける”そんなジンクスまで言われるくらいだった。


でも、その通り、俺は負けなしだった。


だけど、あのとき初めて負けたんだ。


そう。皐月先輩と闘ったとき。







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