Come Back Anytime
 昼休みが明け、五時限目。

 授業開始のチャイムとともに、ふたつの小さな箱を抱えた先生が、教室の中へ足を踏み入れた。

 箱の中は、四つ折りにされた紙がたくさん詰まっており、開くと席順を示す数字が書かれてある。
 そう、席替え用のクジ箱である。

 ついに羽ばたくときが来た!

 潤は心の中で叫んだ。

 思えば、これまでの二か月間は潤にとって最悪であった。
 隣に座る「未由」は、とにかくいけ好かない女で、ことあるごとに潤に文句を投げかけ、見下したような態度をとってきた。
 とくに腹立たしかったのは、クラスの中でもかなりチビであった潤に対し、未由は長身で、頭ひとつぶんくらいの差があったことだ。
 つまり、心身ともに見下されていたのである。

 いままで心休まる日はなかった。
 しかしそれも、ようやく終末を迎える。

 グッバイ、未由!

 潤は心の中でつぶやいていた。
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