変態王子
「で、湊くん。何に決まったの?」
フェンスに背中を預けて、風に当たる俺と、外の景色を楽しむ柚菜。
「遊園地の無料招待券、二枚持ってんだ」
「……?」
言葉の意味が分かっていないのか、柚菜を見上げる俺と見下ろす柚菜の目があった。
「遊園地、久し振りだけど男二人で行くのもなんだし。柚菜が着いてきてくれると助かるんだけどな…」
「えっ…と、じゃあ、湊くんのお願いって……」
「遊園地のお供だね」
「でも、それじゃ、お返しにならないよ!」
「いいのっ!柚菜と行きたいんだから、着いてきて俺を楽しましてよ。それで俺は十分だから」
譲らないっといった笑みを柚菜に向けて、柚菜も「お返しになんないよ…」と言いながらも頷いてくれた。
十分過ぎる程だよ、柚菜。
俺からしたら、デートに誘えて成功したんだから。