変態王子
それから数日後、首を長くして待っていた俺の元に、彼女は少し恥ずかしそうにやって来た。
それは昼休みのことだった。
慣れないクラスに入るのを躊躇っているのか、入り口付近でうろうろしている彼女が、小動物に見えてとても可愛かった。
すぐに気づいた俺は、一緒に食べるはずだった友達に適当な理由をつけて席を離れた。
駆け寄る俺を見て、安心の笑みを浮かべる彼女。
「どうしたの?」
来た理由なんて一つしかないのに、あえて訊く俺。
「急にごめんね…。この前のお礼の件を聞きに来たんだけど、もう決まった?」
「うん、一応きまっ…」
教室の前で話しているのが見えた友達らが、教室の中から冷やかしの声を浴びせてきた。