純白のキルケゴール



―ひっ、あ、悪魔っ―

小さな小型ライトじゃサラリーマンの形相までは、見えない。


けれど私は、確実に男に歩み寄っていく。


「悪魔で結構ですよっと!」

そう言うと同時に、一発。


ピストルで男の頭を打ち抜いた。


人形の様に、壁にもたれた疲れきった人の父親。


別に恨みは無かった。

――けど、良い気味ね


私は、彼の娘に対してそう思ったのだ。


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