純白のキルケゴール


私には、お父さんがいなかった。


でも、そんなお母さんを見る度にお母さんがいるだけで十分。


そう心から、思っていた。


お父さんという存在を、ずっと海の底に沈め続けた。


深く、深く―――




お母さんが死ぬその日まで、ずっと。


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