そんなあなたは先生でした…(上)
ピンポーン…♪
『どちら様でしょうか?』
「あの、私、黒澤礼と申します。
黒澤美代の娘です!!
母に会いたいのですが…」
『少々お待ちくださいませ』
「はい…」
暫く経った後、
『会いたくないとのことでしたが…』
「え……」
『あたしに娘なんていないとおっしゃっておりましたが…』
「あ、そうですか…」
やっぱり会いたくないんだ…。
こうもきっぱり言われるとなぁ…。
こんなこと慣れてるのに……。
あたしが下を向いて黙っていると、
後ろから麗華さんが鬼の形相でやってきた。
「はぁ?
ふざけんじゃないよっ!!!」
『そう申されましても…』
麗華さんは後ろを向いて奏さんと先生を呼んだ。
「奏、陽、来なっ!!!」
二人はいっさんに来た。
先生は
「今から俺を“陽さん”って呼んでね」
と耳打ち。
「はい」
『お客様、ちょっっ……』
麗華さんはお構いなしにドアを開けた。