そんなあなたは先生でした…(上)
「先生、ありがとうございます!」
先生は笑いながら答えた。
「さっきから、そればっかり」
「だってー…」
「だって?」
先生との距離が近づく。
「だって、本当に感謝してるから。
言葉じゃ言い切れません!」
先生は、
ふーん…
と言っているような表情。
「お礼ねぇ……。
礼さん、ちょっと目瞑って。
いいって言うまで開けないでね」
「は、い……?」
あたしは先生から言われた通りに、目を瞑った。
先生の息遣いが近い気がする。
先生の匂いがする。
その瞬間、
唇に柔らかいものが当たり、
それは一瞬で離れた。
「き、、す?」
あたしは目を大きく開けて、
そう呟くように尋ねた。