そんなあなたは先生でした…(上)

女は、看病をしているうちに寝てしまったようだ。


季節は秋終わりに近付いている。

風邪引くぞ。


そう思い、起こそうとした瞬間、


さっきまでそっぽを向いていた顔が俺の方へに向け、制服の隙間から谷間がチラッと見えた。


うちの学校は女子はセーラーで
男子はネクタイにブレザーといたってシンプルな作りになっている。


俺の目は女の谷間を凝視してしまう。

こいつ着痩せタイプか?

豊満だと思われる胸が隙間から伺える。

手を伸ばして触りたくなるような甘い果実が俺の本能を誘う。

誰のために風邪引いたと思ってんだよ。
お前の笑顔が、

お前を思って、

お前を想ってるんだよ。


………お前が好きで。


さくらんぼの色をした唇から
「んっ……」

という声が聞こえる。

規則正しい息遣い。


「城之内くん……」


そんな愛らしい声出さないでくれ。


俺は自分の理性に負け、
黒澤にそっと唇を合わせた。







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