そんなあなたは先生でした…(上)
礼side
息がしにくい……
そう思って目を開けると、
唇には柔らかいものがあり、
城之内くんのドアップが映った。
「ちょっと、やめてくだ……」
抵抗なんて皆無。
あたしは城之内くんに抱きしめられた。
「このまま聞いて……」
いつもとは違うしおらしい声、口調。
「俺、お前が好きだ。
こんな気持ちは初めてなんだ。
自分から求めたり、相手に触れたくなるのは今まで感じなかった……」
びっくりした。
「え、……」
「お前の笑顔を壊したくない。
でも、俺はお前が好きだから、
初めての気持ちだから。
俺のこと、考えてくれないか?」
「っ、でも、あたしには彼氏が……」
「佐伯のことだろ?」
城之内くんは力を緩め、あたしを解放した。そして、目をまっすぐあたしに向けた。
あたしはそれに対してまっすぐ見れない。
「違っ、」
「あぁ、“彼氏役”に奏とかいう佐伯の下を使っているんだっけか?」
な、なんでそれ知ってるの!?