そんなあなたは先生でした…(上)

「な、なんで……」

ガラガラガラッ

勢いよく保健室のドアが開いた。

「礼!!
そいつから離れるんだ!!!」

「え?
陽、先生?」

そう、そこには慌てている陽が立っていた。


「彼氏のお出ましか」

ドアを閉めて近くに来た陽はこう言い放った。


「城之内恭哉、いや、、神田恭哉。
お前、偽りの名前まで使って何しに来た!!」


え、偽り?

城之内くんは本当は神田?


神田って神田組の!?


「ねぇ、本当にそうなの?
神田組の1人なの!?」


信じられない。

だって、隣の席に、文化祭では大いに関係がある役だし、それに……


え!?




「ちっ、バレたか……」


「え?」


「もう少しでオトせたのに」

「城之内くん!?
じゃぁ、さっき言ったことも……」

「嘘だよ。
当たり前だろ。
何?嬉しかったわけ?
お前も他の女とおな……」


パシンッ


あたしは平手で城之内くん顔を叩いた。


「結局、そんな考えだったんですね。
最低です。
少し見直したのに…」


あたしは背を向けて保健室から去ろうとした。


「どうせ、俺は最低だよ……。
一人なんて慣れたんだよ、ばかやろう」


そう言った彼の表情は、

予想とは違って哀しくて孤独な顔をしていた。






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