そんなあなたは先生でした…(上)
「何かあったら言ってね」
「……先生、」
「何?」
「あたし何で存在してるのかな。
何で生まれてきちゃったのかな…」
あたしは涙声になりながら先生に尋ねた。
「幸せになるために生きてるんだよ」
先生はそう答えた。
「幸せ…?」
「そう。
俺たちは幸せを求めて生きてるんだよ」
幸せ……
「先生、あたしにも幸せは訪れるかな」
「礼さんが生きていたら、
負けないで困難を乗り越えたら、
幸せは訪れるよ」
あたしの目を見てそう答えた。
先生は前を向いて、
家路を走らせた。