懸賞彼氏
ノリと一緒に過ごし始めて3ヶ月経った、ある日…


「美緒、大事な話があるんだけど…」


ノリの表情からただならぬ状況であるということを読み取った。


「な、何??いい事??悪い事??あたし悪い話なら聞きたくないなぁ…」


「美緒にとっていい事か悪い事なのか俺には分からないけど…」


「じゃあ聞きたくない!!」


思わず耳をふさぐ。


あたしは何を言われるか大体想像がついていた…

「美緒、聞いて…」


「やだやだ!!聞きたくない!!」


じわっ…


ほら、あったかいのがあふれてきたよ。


早くいつもみたいにぎゅってしてよ、ノリ…。


いつもみたいに涙ふいてよ…。


「美緒、俺もう明日から美緒の涙拭いてあげられない…。」


「…」


あたしはあふれてくる涙でしか返事が出来ない。

「…俺、明日からまた違う子の懸賞彼氏になるんだ。」


「あたしはノリのこと懸賞彼氏ってだけの関係だとは思ってないよ!!そりゃ最初は軽い気持ちだったけど今は違う!!懸賞彼氏っていう枠組みが外れることをずっと望んでた!!」


ふっ…


ノリが笑った!?


どうして??


「きれいごと言ってんじゃねーよ!!お前も今までと女と一緒なんだよ。今まで俺が懸賞彼氏やってやった女は期限が切れる時同じこと言うんだよ!!」


「でもあたしは本当にノリのこと…」


「本気で好きだってか??笑わせんじゃねぇよ!!まず懸賞彼氏っていうものに応募するのがおかしいんだよ!!本気だなんて信じられるか!!」

何を言っても無駄だった…


ノリが言ってることは正しい。


でもあたしは本気でノリのこと好きになったのに…


「つーわけでじゃあな。」


ノリが立ち去っていく…

待って待って待って!!

行かないで…!!
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