懸賞彼氏
「行かないでよぉ!!」

ガバッ!!


自分の声にびっくりして布団から飛び起きた。


夢か…


もう何回ノリとの別れの日の夢を見ただろう…。

いっそのこと全部夢だったらいいのに…


ノリが懸賞彼氏だったこと、ノリと過ごした日々、全部全部夢だったらいいのに…


まだノリがあたしの彼氏のような気がして、「ノリ」って呼んだらヒョコッとそこら辺から出てきそうな気がして、あたしが泣いてたら涙ふいてくれる気がして…。


ノリ、ノリ…。


こんなにもノリがあたしの中でおっきな存在になってたことに今更気付かされるなんてね…


ノリ、あなたとは懸賞彼氏っていう形ではなくて普通の女の子と男の子として出会いたかったな…

でも待って。


普通に出会ってたとしたらあたしとノリは彼氏彼女になれたのかな??


懸賞彼氏っていう形だったから恋人同士になれたのかな??


ノリは仕方なくだったかもしれないよね…


でも、でもどうしてノリは懸賞彼氏を始めたんだろう…。


どうしてあたしはノリのこと知ろうとしなかったんだろ…


どうしてノリの気持ちを知ってあげようとしなかったんだろう…


そうだ、あたしは自分のことばっかりだったんだ…
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