president command
ガチャ
「!!」
後ろでお風呂のドアが開く音がした
私は背をむけたまま
新さんがどんな格好で
どんな顔して
どんな風に立ってるかはわからない
全ては私の想像のままに
「気持ちかったよ、ありがとうな」
「いえ」
まだ後ろは振り返らない
「なぁ、ひよ」
「はい」
名前を呼ばれただけど体が火照る
「悪いけどスエット貸してくれないかな?」
「???」
思わず新さんの方を振り向いてしまった
「わっ」
鍛えられた身体
男の人特有のゴツゴツした骨
「何だよ。見てないで早く貸せ!!」
「す、すみません;;」
カッコいいなぁとか思ってたらまじまじと見つめているようにとられたらしい
新さんちょっと顔赤かった?
お風呂入ったばっかりだからかな?
「ど、どうぞ」
目をできるだけ伏して新さんに兄のスエットを渡す
「サンキュ」
「……」
「…………?」
「……」
「…おい!!!何してるんだよお前は」
ひぇっ
「離せよ」
「……………新さん!!!!」
「ひよ、いい加減にしろって」「私のことちょっとでも好きですか!?」
「…好き、か、どうか?」
はい。
私はかわりに頷いた
「何度も言うがオレは……」
新さんがスエットを握る手をゆるめた
「私は新さんが今も好きです」