president command
サイド 磯部


「なんかあった?」


「え?」

「いや、無理してる顔してたから」




うざいかな俺


でも気になるんだよなそういうの




「あたし達がそういうの聞く側なのに、まいったなぁー」



「………話聞くよ」


「私のはいいですよー!!磯部さんの話ききたいな♪」



「俺…悩みないしな」

あくまでも仕事ではって話



「うーそ!課長がここに連れてきたってことは何かあるもの」


ずばり言うね

当たってるけど、村瀬のこと言う気にはなれない



「ねぇ」

「?」


「………磯部さんは、堀川社長と知り合いではないですよね?」


「悪いけど、知らないよ」



「最近どうしてるかなーっと思って」


「元気だとは思うけど……」
課長と話してるくらいだし




「本当は他のお客様の話なんかしちゃダメなんですけどね、すみません。」


「いや、俺の前では気にしないで」



「うーん。磯部さんて相談とか聞くの好きなタイプでしょ」


「まぁね」


「モテるでしょ」


「……今日振られたばかりです」









「わかった!だから来たのね」




しまった


言わないつもりだったのに

口がすべったな




「実はねー、あたしも」


「?」




「あたしキャバ嬢だけどね、好きな人いたの。でも最近振られちゃった」



「………今も好きだろ」


「!!」


「わかるよ。俺も踏ん切りつかないんだ」


「………なんかね、わかんないけどまだ未練残りまくり」




「一緒」


「あなたみたいな人振った子はバカね」


「君を振った奴もね」






アゲハとは

そんな形で話はじめた




意外にもどんどん話ははずみ



また来たいと思わせられた





「………はい。これ名刺」


「ありがとう」



受け取ろうとしたら


アゲハがもたれかかってきた




「裏に個人用のアド書いてあるからメールして」





「……いいの?」


「あなたとは普通に友達になりたいから」



「わかった」


「たまにはお客様でいらしてくれると嬉しいな♪」






俺は



不思議な人に出会った気分で店を出た


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