president command


ひよがシャワーを浴びている間


お袋から電話があった



『………ひよさんに決めたって原田から』

「あぁ。だから今度連れていくって」

『てっきり望さんかと』


あのなぁ


「望さんとは何もない」

『ひよさんと結婚するの』

「………」



困った




いざ、お袋に言うとなると言葉が出てこない



『…新さん。望さんと結婚はしないの?』



どういう意味で聞いているんだろう



「しない」


『そう。いいわ、あなたの人生だもの。』



俺の人生




『好きな人と結婚したい。とあなたは言ったわ。まぁ結局ひよさんを選んでいるわけだけど、あなたにとってプラスならきっと会社にもプラスよ』






………




お袋の言葉は

すごく力がこもっていた





「待ってて。すぐ紹介するから」


『はいはい』








俺にとってプラスならきっと会社にとってもプラス





「………プラスねぇ」





ガチャ


扉の開く音がした


「…あ、お先です」



顔を火照らせ


まだ濡れている髪をタオルで覆う彼女




「プラスかマイナスならプラスだよな」


「わけわからないこと言わないで早く入ってきてください。体あったまりますよ?」




あぁ


そうだな





でもその前に


やることあるんだ


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