president command
「奥様と社長でございます」
「昨日はどうして希さんを歩かせた」
「それは……」
口ごもる原田
何かあるならはっきり言えよ
今ならまだ受け止められる
「何かあるなら言いなさい原田」
「奥様」
「あなたは私と新さんの補佐でしょう?それとも堀川に嫌気でもさしましたか?」
「いえ!違います、決してそんなことは」
肩をひどく大きくゆらしながら
原田はお袋にかけよった
白か……?
「………花岸のお嬢様がすぐ帰られるよう私は一緒にエレベータに乗りました。しかし急にトイレに行きたいと申され、途中でとめてさっさと出ていってしまったのです」
「なぜ止めない」
「ちょうどその時子供から電話がありまして」
「あら」
「……」
原田の家庭事情はあまり知らないが
子供と何かひともんちゃくあるらしく
電話がかかってくることは原田にとって
すごいことなんだ
「すみません。仕事を放棄し私は電話に出てしまいました」
「その間の彼女の行動は謎ってわけか」
「はい、申し訳ございません」
「原田、話してくれてありがとう。あなたを疑わなくてすみそうでなにより」
「奥様」
「…仕事中に私用をはさむのは関心しないが…電話あってよかったな」
「社長」
「きっと彼女がかんでいる」
「そうだとしても事態をどうするか考えなくてはね」
「花岸とのかぶり商品をどう売るか考えます。そして我が社の名前で当初どおり売り出しをする」