president command
「……もしもし」



おそるおそる電話に出た



『こんにちは。いきなりのお電話すみません』


彼女の声がいつもより高いような感じがした



「いえ、大丈夫です。こちらこそお待たせしてすみませんでしたね」


『先ほど、花岸が新さんの会社に行ったことを聞きました。本当に申し訳ございません』



電話なのに


彼女がふかぶかとお辞儀をするのが見えた



「希さん」


やめてくださいと続けたくなる程だった



『私は私は………』



どうしようか。




希さんは何も関係ないということなのだろう




だとしたら責められない



けれど、つながった


希さんが謝ってくるということは情報の漏れがあったということ


一体誰が……


「花岸さんのされたことは悪質です」



『……』


「しかし、私の会社にも落ち度があったということ。あなたが悪く思う必要はないですよ」





『すみません』


「でも、私情を挟んで会社を動かすとは。あまり尊敬しませんよ」



………どうくる?


この次彼女は

どんな言葉を話すだろう
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