president command
………………
希さんに電話したとき
いつもとかわらぬ凛とした声で彼女は対応していた
「……村瀬をですか?」
『はい。村瀬ひよさんも一緒に食事がしたいです』
「なぜ」
『私はまだあきらめたわけじゃありません』
なんていうか
ここまで断言されると
恥ずかしくなる
『それに……』
その台詞に俺はごくりと生唾をのんでいた
『新さんには食事の席で判断を聞くとお約束していましたしね。今はまだおっしゃらないでください』
「あなたはどうして……俺にこだわっているのですか?」
取り合う価値なんかないとはいいたくないが
むしろ今までだって
取り合いの対象になってきたが
彼女のはそれに当てはまらない
『経営者としてのあなたに惚れているからです』
「………ありがとうございます」
こういう場合
お礼でいいのだろうかと想ったが
誉めてもらってるなはかわりないしな
『初めてお会いした時のあなたも好印象でした。だから私はあなたを夫にしたいのです』