手を繋ごう
「沙知?まずは落ち着いて。何があったの?」

「ママが…ママが!!!倒れちゃったの!お兄ちゃんみたいに会えなくなったら嫌あぁー」

沙知はそう言って泣きじゃくった。

私の心臓が“ドクン”と醜い音をたてた。

ドクン、ドクン、ドクン。
心臓は早まっていくばかり。


「沙知、お母さんは今どこにいるの?」

きっとこの質問をしている時、私の顔は真っ青だっただろう………。

それでも冷静になり沙知を守ろうとした。

「ママ……今、病室。お姉ちゃんにも来てほしいの」
必死に泣くのを我慢しているのがわかる。

「わかった。一緒に行こう」
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