手を繋ごう
「いっ…郁兄…っ。ア…レ……見てっ」


私は先生の握っている“ナイフ”を指さした。



この時私は初めて“死”を意識した。



「……なっ。…大丈夫。亜華李の事は俺が守るから」


郁兄はそう言ってまた私を強く抱きしめた。



「無理に決まっているでしょーう。私の狙いは桜井亜華李さん、貴方だけなんだから」



そう言って今度は高笑いする事もなく不気味ににんまりと笑ってみせた。
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