どうして私を選んだの?【完】
「…北川遥斗くん…」
ポツリとそう呟くと、
「優芽…遥斗くんのこと好きになったでしょ?」
と、私をからかう亜衣子ちゃん。
でも、本当のことだから私は何にも言えなくて…ただ顔を真っ赤にさせて俯くしかなかった。
すると、
「亜衣子〜、桜庭ちゃん、そろそろ教室戻ろ?」
もう1人、私を誘ってくれた、成田彩ちゃんが、私と亜衣子ちゃんを手招きする姿が目に入った。
「あれ?彩は、北川遥斗にあんまし、興味なかったの?さっきまであんなに騒いでたくせに?」
亜衣子ちゃんのその問いに、
「うん、私は彼氏が一番だし、北川くんは、観賞で十分。」
えへへ、と、幸せそうにそう呟く彩ちゃん。
なんだか、少し羨ましい。