天神楽の鳴き声
「うう…なんかおれの沽券に関する何かが危うくなってる気がする…」

「もう、崖っぷちです!!…二人ともお若いんですからさくっとやってください…じゃないと本当にアレですよ?女官たちに、え、もしかして主上?へたく…」


志臣は最後の一言をいう前に、葉深にくしゃりと丸めた紙屑を命中させる。
葉深は情けない顔をしながら酷いじゃないですかー、と文句を言う。


「お前にだけはその手の事を言われたくないぞ!!」

ぎくりと葉深は目を泳がせる。
「一度も女をひっかけたことないくせしてー」
「た、たしかに、低い成功率を誇りますが!!お言葉ですが、主上!!一度や二度ぐらい成功してますし!!その手の方面に文句言われたことありませんし!!」


ちなみに、葉深の宮中での評判はと言えば、
「あー、葉深様?あの犬みたいに可愛いーお方よね?」
「確かに官吏の中では整ってるけどー」
「断然、空平様一筋よー」

女官達の総意である。
つまり、童顔のせいであまり相手にされないのだ。


「とにかく、主上。世の平定の為、そういう事はきちんとしていただかなくては…」
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